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障害を乗り越え完成された芸術に、生きる勇気をもらう
“ホーシンイムスー”
~微笑みと勇気の芸術の楼閣~
 
障害者にとって真に障害となるもののひとつは「障害者だから能力がない」と思われることでしょう。「ホーシンイムスー」は障害者が誇りをもって社会で自立することを目的に、(財)国際障害者協会によって設立されました。ここでは彼らの潜在能力や技術が一般の人々に紹介されています。
ウィリヤ・ナームシリポンパン教授は、視力障害をもちながらも屈することなく人生で成功をおさめている一人です。タマサート大学法学部で法律を教える教授となり、社会から賞賛を得る人となったのです。教授は、世の中にはいまだに多くの障害者が社会的偏見などから困難な状況におかれ、人生において自分と同じようなチャンスを与えられていない現状を懸念されていました。その思いから、教授と家族は自己の資産とこの思いに賛同する人たちから寄付を集め「ホーシンイムスー」を設立したのです。「ホーシンイムスー」は障害者自身の能力や技術を一般に披露する場としての役割を担い、世界中からさまざまな障害をもつ人たちが制作した芸術品や工芸品を展示、販売をしています。

パンティッププラザのガームウォンワーン店
聴覚障害をもつピッサダーン・ドゥアンの作品「象の彫刻」
パンティププラザ・プラトゥナーム店内
   
ここには20人以上の障害者による100以上の作品が展示されています。下の階から見ていきましょうか。まず大きな木彫りの象がそびえ立っているのに目を引き付けられるでしょう。これは、生まれつき聴力障害をもつピッサダーン・ドゥアンインの作品です。そしてラマ9世国王さまと王妃さまの肖像画が壁いっぱいに飾られています。これらはプラノット・ワッタナーサワット、別名“寝たきりの画家”の作品。彼は以前はチェンマイ県の地方の電力所長でした。しかし仕事中に電力ショートの事故に遭い、後遺症で胸から両脚の先まで麻痺が残ったのです。他の作品も観ていきましょう。まるで本物のように美しい花の絵があります。これはローンサン・ローカムの作品。両腕がないため足先だけで夢を描き、障害者の絵画としては世界レベルの評価を受けている作品です。
この他にもいろいろな作品に出合えます。たとえば、アムポン・チャンターウォンの編み細工。彼はポリオを患って手足に障害があるにもかかわらず、日本の静岡県で開催された第7回障害者国際技能選手権で一躍有名になりました。2階に上がると、木造の大きな船の模型が目に留まります。これはヤーノンゴーン・スワンナによる作品。彼は背骨が背中から下腹部までくっついるため両腕だけしか動かすことができません。この他にも、大きな木の切り株の彫刻があります。これが、頂上を狙って互いに踏みつけ重なり合う人間たちの姿をデザインしたもの。自己の目標を達成させるためには他者を踏み台にする現代社会の風潮が表現されています。
機会があれば「ホーシンイムスー」へぜひ行ってみてください。障害をもつ人たちによる芸術作品は、ただ鑑賞するだけで終わらず、むしろ私たちが彼らの作品から生きる勇気をもらっていることに気づかされます。身体障害に屈しない彼らの素晴らしい作品の数々を鑑賞した後には、きっと自らの抱えるさまざまな苦しみがやわらぎ、生きる自信と希望が湧いてくるのを実感すると思います。
 
パンティププラザ・プラトゥナーム店内
 
 
 
DATA
ホーシンイムスー

●住所:27 / 5 Soi 39 Arun Amarin Road, Arun Amarin. Arun Amarin Road. Bangkoknoi Bangkok 10700
●入場料:無料
●営業日:毎日
●時間:8:30~16:30
●TEL:+66-(2)-886-1188